「ダイエット中だから、油は徹底的にカット」

「脂っこいものは、太るし、体に悪い」

これまでの「プロテイン(タンパク質)」「炭水化物(糖質)」の記事に続き、今回は三大栄養素の最後の一つ、「脂質」について解説します。

“脂質”と聞くと、真っ先に「肥満」や「カロリーの塊」といったネガティブなイメージが浮かび、真っ先に食事から排除しようとしていませんか?

しかし、もしその「極端な脂質カット」が、アスリートのパフォーマンス向上を妨げ、大人の女性のホルモンバランスや肌の潤いを奪っているとしたら…。


はじめに

こんにちは。帯広のパーソナルジムJuntosの安藤です。

「脂質=悪」という考え方は、栄養学の世界ではすでに時代遅れです。

糖質を「選ぶ」ことが重要だったように、脂質もまた「抜く」のではなく、「良質なものを選んで摂る」ことが、パフォーマンスと健康、美容の全てにおいて不可欠なのです。

この記事では、あなたの身体を最高にコンディショニングするために必要な、「良質な脂質」の科学について徹底解説します。

1. なぜ、脂質は「悪者」にされたのか?

脂質が敬遠される最大の理由は、1gあたり9kcalと、タンパク質や糖質(1gあたり4kcal)の2倍以上のカロリーを持つことにあります。

確かに、「悪い脂質」を「過剰に摂取」すれば、体脂肪の増加に直結します。

「悪い脂質」とは、

  • トランス脂肪酸: マーガリンやショートニング、スナック菓子、安価な揚げ物などに含まれ、悪玉コレステロールを増やします。
  • 酸化した脂質: 何度も使い回した揚げ油や、開封してから時間が経ったナッツなど。体内で炎症を引き起こす原因になります。

問題なのは、「脂質」そのものではなく、これらの「悪い脂質」や「過剰摂取」なのです。

2. 身体は「脂質」なしでは作られない。その重要な役割

「良質な脂質」は、単なるエネルギー源にとどまらず、私たちの身体を作る上で欠かせない、非常に重要な役割を担っています。

① 身体の全ての「細胞膜」の材料になる

私たちの身体は約37兆個の細胞でできていますが、その一つひとつの「膜」は脂質でできています。

  • アスリートへの価値: 良い脂質は、しなやかで良質な細胞膜を作ります。これにより、筋肉細胞は栄養素を効率よく取り込み、神経伝達もスムーズになります。これがパフォーマンスの土台となります。

② 「ホルモン」の材料になる

脂質(コレステロール)は、身体の調子を整える「ホルモン」の主原料です。

  • アスリートへの価値: 筋肉の成長を促すテストステロン(男性ホルモンの一種)も、脂質から作られます。極端な脂質不足は、筋肉が成長しにくい身体を作ってしまいます。
  • 大人の女性への価値: エストロゲン(女性ホルモン)も脂質から作られます。ホルモンバランスが乱れがちな大人の女性にとって、良質な脂質は不可欠。過度な脂質カットが、生理不順や肌荒れ、イライラに繋がることも少なくありません。

③ 脂溶性ビタミンの吸収を助ける

ビタミンA、D、E、Kといった「脂溶性ビタミン」は、脂質がなければ体内に吸収されません。

  • 両者への価値: ビタミンA(皮膚・粘膜の健康)、D(骨の健康)、E(抗酸化・血流改善)など、健康と美容に不可欠なビタミンの吸収率を高めます。
④ 「満腹感」と「肌の潤い」
  • 大人の女性への価値: 脂質は消化吸収がゆっくりなため、満腹感を持続させ、ダイエット中の間食を防ぎます。また、皮脂の材料として**肌の潤い(バリア機能)**を保ち、乾燥から守ってくれます。

3. 摂るべきはこれ!「オメガ3脂肪酸」の科学

では、「良質な脂質」とは何でしょうか? 特に意識してほしいのが、脂質の「バランス」です。現代人は、

  • オメガ6脂肪酸(リノール酸など): 過剰摂取
    • サラダ油、ごま油、加工食品など。摂りすぎると体内で「炎症」を促進します。
  • オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA): 圧倒的に不足
    • 魚の油、亜麻仁油、えごま油など。体内で「炎症を抑える」働きをします。

アスリートの疲労回復も、大人の健康維持も、この「炎症」をいかにコントロールするかが鍵。

つまり、意識的にオメガ6を減らし、オメガ3を増やすことが、現代人にとっての「賢い脂質の摂り方」なのです。

4.【実践編】良質な脂質を摂るためのアクションプラン

何を「減らす」か?

  • スナック菓子、菓子パン、カップ麺
  • ファストフードの揚げ物(酸化した油)
  • マーガリンや、それを使った食品

何を「増やす」か?

  1. 魚(特に青魚):週2〜3回
    • サバ、イワシ、サンマ、アジなど。EPA・DHAの最良の供給源です。
  2. 亜麻仁(あまに)油、えごま油:毎日スプーン1杯
    • 熱に非常に弱いので、加熱せず、サラダや納豆、スープなどに最後にかけて使いましょう。
  3. ナッツ類(無塩):間食にひとつかみ
    • アーモンドや、特にオメガ3が豊富なくるみ(胡桃)がおすすめです。
  4. 加熱調理には「オリーブオイル」
    • オメガ9が主体のオリーブオイルは熱に比較的強いため、炒め物などにはこちらを使いましょう。

5. まとめ

脂質は、「ゼロ」にするものではなく、「バランスと質」を追求するものです。

  • アスリートは、炎症を抑え、強い細胞膜とホルモンを作るために。
  • 大人の女性は、ホルモンバランスを整え、肌の潤いと満腹感を得るために。

良質な脂質を「選ぶ」スキルは、あなたのパフォーマンスと健康、美容を次のステージへ引き上げてくれます。

「自分には、どんな油がどれくらい必要なんだろう?」 「具体的な食事のメニューを相談したい」

私たち帯広のパーソナルジムJuntosでは、あなたの目標とライフスタイルに合わせた、最適な栄養戦略もトータルでご提案します。十勝で本気で身体を変えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。